『理性の限界』              
                       
    ■選択の限界              
      コンドルセのパラドクス            
        トーナメント式の投票を行うと、残りの選択肢が勝利してしまう    
      ボルダのパラドクス            
        単記投票方式の結果は民意を正確に表現できない      
        (投票しないその他の候補者の中での順位が考慮されない)    
      アロウの不可能性定理            
        完全に民主的な社会決定方式は存在しない      
      ギバード・サタースウェイトの定理          
        どのような民主的な投票方式においても、戦略的操作が必ず可能  
                       
    ■駆け引きの限界              
      TFT戦略              
        協調と裏切りの駆け引きの連続では、TFT(しっぺ返し)作戦が結果的に勝利する
      裏をかく              
        相手の裏をかこうとすると、無限循環が発生する      
      ナッシュ均衡              
        2名以上で行う非ゼロサム・ゲームでは、各人の利益を最大にできるような
        均衡解が一意的に存在する          
                       
    ■完全な観測の不可能性            
      ハイゼンベルクの不確定性原理          
        電子の位置と運動量は様々な状態が「共存」しており、一意的に決定されない
        →ラプラスの悪魔は原理的に存在できない      
        →未来は何も決定されていない、決定もできない      
                       
        シュレディンガー方程式は、個々の粒子の動きを記述することはできず、  
        得られる結果の確立として表現される        
        →ミクロとマクロの境界線はどこにあるのか?      
                       
    ■科学の限界              
      パラダイム論              
        科学理論を「真理」と解釈するのは間違い        
        より多くのパズルの解法として適用可能な「合意」と考えるほうがよい  
        →科学の「進歩」は幻想にすぎない。        
          古い理論が新しい理論に代わるのは「進歩」でもなく、    
          「真理への接近」でもなく、「合意」の移行(パラダイム変換)にすぎない  
                       
    ■予測の不可能性            
      帰納法              
        帰納法は、過去の現象の再現性に依存した理論づけであり、    
        現在までの事象の確認にしか使えない。        
        →未来の予測は不能          
          (「明日もそうなる」という必然性を保証できない)      
                       
                       
  『知性の限界』              
                       
    ■選択の限界              
      アロウの不可能性原理            
        民主主義に不可欠な多数決原理そのものにパラドクスが潜む    
        →完全な民主主義は原理的に不可能        
                       
    ■科学の限界              
      ハイゼンベルクの不確定性原理          
        完全な観測は原理的に不可能 (確率的、光は二重性を持つ)    
        →完全な真理は原理的に不確定        
        →「真理」は「幻想」にすぎず、最終的には権威主義に陥らざるをえない  
          ここまでくると、科学も宗教になってしまう      
                       
    ■言語の限界              
      ウィトゲンシュタインの「論理哲学論考」        
        言語は世界を投影する写像である        
        →明確に語れることは語ってもよいが、明確に語れないことは語らぬべき  
          所詮、「語れないこと」は「無意味なこと」である、あるいは「神秘」  
          (※しかし、この表現自体が「無意味」かも)        
                       
    ■言語行為の公共性 (言語ゲーム)          
      すべての言語に共通のルールなど存在しない。      
      言語は生活形式の、社会、文化への反映にすぎない。      
      それは「類似性」、「関連性」、つながりによる「全体性」として表れる  
                       
    ■観察の理論負荷性            
      観察は常に一定の理論を背景に持つ        
      →完全に純粋な観察は存在しない (共役不可能性)      
      →背景としている理論により、観察事象の解釈が結果と      
        合致する理論は一意的に定まらない        
        (翻訳の不可能性、理論の決定不全性)        
                       
    ■予測の限界              
      ラプラスの悪魔は存在しない (ハイゼンベルクの不確定性原理)    
        →完全な予測は原理的に不可能        
      帰納法 (再現性を頼りにした方法) による予測は難しい (複雑系)    
                       
    ■疑似科学の反証不可能性            
      反論(反証)となる表現が可能なのが科学、        
      どちらに転んでもなんとでも言い様があるのは疑似科学      
        →占いやフロイト理論は疑似科学        
                       
      科学と疑似科学の判定基準          
        人間・知識・社会・誠意・理論・学会・権威・実験・論争・出版    
                       
    ■複雑権における緻密な微調整          
      宇宙は良くできすぎている、結果がうまくいきすぎている      
      →予め決定された結果に向けて原因が準備されていくように見えて仕方がない
        (遡及因果)            
                       
      例) フレッド・ホイルの予想したヘリウム4(α粒子)3つによるトリプルアルファ反応  
      例) 宇宙を支配する6つの物理定数の超絶的微調整      
                       
      緻密な微調整を眺める人間の態度          
        1.多くの宇宙の中から、たまたま我々の宇宙に我々はいる    
                  (弱い人間原理)  
        2.すべてが現在の宇宙を指向しており、現在の宇宙は必然である  
                  (強い人間原理)  
                       
    ■究極の不可知性 (カント)            
      4つのアンチノミー            
        宇宙論、原子論、自由意志、神          
        →これらは形而上学 (←→形而下学(=科学))      
                     
        パスカルの賭け            
        「どうせ判らないなら、確率論的に言って、信じたほうが得である」  
         (信じたほうが、リスクが最も少ない)        
                       
    ■宇宙の本質              
      宇宙的無意識            
        人間は、宇宙的無意識の一部であり、        
        その無意識は本質的に          
         1.自身の幸福            
         2.永遠の生命            
         3.人類の進化            
        を指向してしまうようにできており、        
        これが人間の苦悩の原因である        
        (人類を滅亡させてもダメ、宇宙にはまた同じ本質の生命が誕生してしまう)  
                     
        いっそのこと、宇宙そのものが存在しなくなるようにしなければならず、  
        そのために科学を発展させることには意味がある (ハルトマン)    
                       
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