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◆ うつ病の原因は遺伝形質+ストレス+環境の変化 ◆
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うつ病やパニック障害は、先天性の障害ではありません。
確かに、先天的になりやすい人がいますが、それは遺伝形質であり、障害ではなく 「特性」 といえるレベルです。
うつ病やパニック障害、さらには、最近よく言われるパーソナリティ障害といった精神障害は、社会や家庭などの環境からの
継続的ストレスや、生活に影響を及ぼすような環境の大きな変化
が原因となって発症することが殆どです。 では、こうした障害を発症してしまうような人たちは、精神的に弱いといえるのでしょうか? このテーマについては他のホームページや本にもたくさんのことが記されているようですが、 ここでは、もともと日本人が持っている体質の面から考えてみたいと思います。 |
◆ 日本人の6割はうつ病になりやすい ◆
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セロトニントランスポーターを決定する遺伝子はss型、Ls型、LL型の3パターンがあり、ss型の遺伝子を持つ人は不安障害やうつ病を発生しやすく、
LL型はその逆です。
アジア人、中でも日本人は遺伝的にss型の遺伝子を持つ人が最も多く、実はうつ病は日本人にかかりやすい障害と言えます。 セロトニンをトランスポーター遺伝子の保有割合 日本人はこれまでうつ病患者を 「心の問題」 として扱い、 「身体の障害」 として扱うのが他の国と比べて遅れていました。 その風潮は今も続いていると思います。 日本人のうつ病発症率が他国と比べて少ないという統計結果が見られるのは、日本でのうつ病に対する正確な認識の遅れと、 年功序列や終身雇用など、人生をストレスや大きな変化から守る仕組みが機能していたためと考えられます。 今、日本は大きなグローバル化の波に呑まれようとしています。 そうした中で企業は従来の考え方を徐々に変更し、 我々日本人が本来最も苦手としているはずの、変化の多い環境に自分自身を曝そうとしています。 こうした環境の中では、これからうつ病患者はますます増えていくでしょう。 |
◆ うつ病予備軍 ◆
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しかし多くの人の場合、生活もあるし、人によっては家庭があり、目下の仕事がある。 だからそう簡単にうつ病になるわけにはいかず、
変化の多い環境の中で歯を食いしばって頑張るわけですが、こんなことが長く続けば、いきおい、心理的に無理が生じ、パーソナリティ障害などを発生させます。
パーソナリティ障害に見られるような、 「歪んだ」 形での強さや弱さは、度を過ぎると周囲に悪影響をおよぼすことになります。
それは家庭や会社だけでなく、街中や電車の中でも見ることができるようになってきました。
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◆ 街中で見られるパーソナリティ障害 ◆
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東京では、多くの人が行き交う交差点や、混み合った駅の構内で、自分の歩くルートを突進しながら、その線上にいる人を平気で押しのけたり、
荷物の角を武器にして激突させる人がかなり多くいます。
またラッシュ時の電車の中では、周囲の混雑状況を無視して、背中や肩で強く人を押しながら、自分の立ち位置を死守するような人がいます。
こうした人たちの行動を言語化すると、 「どうせ見返りをくれない他人に利することをイチイチやるなんて、我慢ならない。」とか、 「この道は(場所は)オレのものだ。 オレが先に来た、オレが先に歩いてた。 入ってきたヤツが悪い。 そんなヤツに譲るなんて耐えられない。」となります。 これらの行動が、押しのけに負けたり、肩透かしを食らったりすると、怒って狂ったように押し返したり、一人でいつまでもムカムカしたりします。 この、 「ガマンならない」 思いが強くなる人はセロトニン不足の傾向があります。 このように、会社や家庭ではほとんど問題のないように見える人たちが素性の知られにくい公共の場所でこうした行動に出てしまうのは、 ストレスによる脳の変性と脳内物質のアンバランスにのためであり、性格によるものではないのです。 普段浴びているストレスに対する反動として、そうした場所で過度な防御反応が出てしまうのです。 このような人たちが職を失ったり、離婚や家族との死別などに直面すると、簡単にうつ病を発症します。 では、いったい何が、多くの人にとってのストレスになっているのでしょう。 |
◆ リスク社会化 ◆
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かつての日本では、 「変化=進歩」 を意味することが多かったので、社会全体が活力や安心感に満ちていました。
昨今、昭和30年代ブームが起きているのは、こうした時代へのノスタルジーだけではなく、 「あこがれ」 があるのです。 今、日本に安心感や活力が欠けているのは、 「変化=進歩」 の時代から、 「変化=リスク」 の時代へと変化し、常にそのリスクにビクついているからです。 リスクをとった結果、地雷を踏んでしまうとたちまち破滅となり、リスク回避行動をとれば敗者と見なされるか、食べていくことすらできなくなるという両極端な選択肢の狭間で、 人々は 「生きづらさ」 を感じているのです。 企業は生き残るために美辞麗句で社員を鼓舞しようとしますが、そんなことが通用したのは90年代の終わりごろまでで、 いまや、 「変化はチャンスだ」 とか、 「機会は誰にでもひらかれている」 などといくら叫んでも、人々のモチベーションは下がる一方です。 |
◆ 思考停止社会化 ◆
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リスク社会化を増長させているのが、人々の異常なまでの過敏症化です。 はみ出し者になることやミスをおかしてしまうことに対して異常なまでに過敏になるのは、
何かを 「やらかした」 人に対する態度が、かつては正当な 「責任追及」 であったのに対して、現代では責任追及の名を借りた 「いじめ」 に近い様相を呈しているためです。
組織の不正や失敗がマスコミに大きく報道され、それを鵜呑みにする人々がことの事情をよく理解もせずに、最低の人間 (企業、団体) のレッテルを貼る。
そのことによってその先の一切の可能性や希望が閉ざされてしまう、そんな社会に変化してきています。 見た目や上辺だけで評価されたり、たった一言の形容詞によって個人や企業の長年の努力や、本来無視されるべきでない重要な本質が、かえってマイナスと評価されてしまう。 これでは、 「やってもやらなくても同じ、やるだけ損。」 となってしまい、個々人のモチベーションを著しく低下させてしまいます。 こうした社会で成功しても、 それは能力や努力によるものではなく、「ただのラッキーだった」 となるため、成功者(=金持ち)は大して尊敬されないし、目標となる人物像に乏しくなった国には、 もはや大した人材は育たなくなるだろうと考えられます。 |
◆ 話は戻って・・・、 ◆
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グローバル化 リスク社会化 無思考風潮化 (過敏症化) これらのいずれをとっても、ss型、Ls型の遺伝子を多く持つ日本人の性質になじまないものばかりです。 いつの間にか私たちは、私たち自身を追い詰める社会を作ってしまっていたわけです。 企業や団体も同じ事で、 やたらとグローバル化を強調する企業 ミスゼロ、コンプラをやたらと強調する企業 過酷で単発的なプロジェクトを社員にハシゴさせる企業 異動や組織改編を頻繁に行う企業 このような企業ではうつ病患者が出現しやすいと言えます。 このことは結果として、現に企業体力を消耗させています。 s型の遺伝子が不安を引き起こすものであることは、即、弱さや社会人としての適性を欠くことを示しているのではありません。 不安は、確からしさを求める心と表裏一体であり、日本人の勤勉さや慎重さといった性質へとつながっています。 それが、世界一と言われた治安の良さや技術力の高さ、乗り物や建物の安全性の高さを成し遂げたと考えるとき、 s型遺伝子にも、重要な役割があることが解ります。 s型遺伝子を多く持つことの不幸を嘆くのではなく、グローバル化の波の受け容れ方を考えなおすことや、 物事の本質を見極める目を養う教育政策をとっていくことが、自らの活力を取り戻し、かつ世界に貢献できるs型遺伝子保有民族の役割なのではないかと思うのです。 |
≪ まとめ ≫ ■ ss型の遺伝子を持つ人は不安障害やうつ病を発生しやすい。 ■ 現代日本の「生きづらさ」が、うつ病罹患者を今後も増やし続けるだろう。 ■ 物事の背景やコンテキストに考えが及ばない人はセロトニン不足の傾向がある可能性がある。 ■ 不安は確からしさを求める心と表裏一体であり、ss型遺伝子を一概に悪者にはできない。 ■ ss型遺伝子は、日本人の勤勉さや慎重さ、治安の良さや技術力や安全性の高さを特徴づけている(dicdic持論)。 |
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