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パニック障害の顛末D 残遺症状の恐怖

−     2012.5.21〜2012.6.6     −


◆ 【疲労】 2012.5.21〜2012.6.3 ◆
    症状が和らぎ、仕事もノッてきたところで、プロジェクトの本体である、ソフトウエアの製造の業務が始まりました。  わたしが最も楽しみにしていた行程です。 私は静かに気合をいれつつ、朝から晩まで机にかじりついてプログラミングしていました。  自分の好きな仕事です。 一日があっという間に過ぎ、充実していました。 当然、肩や首、背中に疲労を感じましたが、そんなことはあり前で、 とくに辛いとは思わず仕事を続けていました。

    しかしある時、左腕にしびれを感じ始めたのです。 私は、肩や首の凝りがひどくなって、腕にきたのだと思っていました。 しかしこの腕のしびれはとても不快で、だんだんと仕事に集中できなくなっていきました。

    頭がボーっとすることが多くなりました。 腕のしびれは、胴体の方に移っていき、やがて胸痛になりました。  全身に倦怠感が現れ、トイレや昼飯での起立が億劫になり、道を歩いていても突然倒れそうになりました。


◆ 【残遺症状】 2012.6.4〜2012.6.6 ◆
    私はこの状態が、パニックの再発だと思いたくありませんでした。 いままでの発作は、ある時突然やってきて、 30分後にはすっかり収まってしまうのです。 しかし今回は違いました。 胸痛が長時間持続し、全身の倦怠感や不快感がまったく取れないのです。 私は、 「実は、本当に心臓が悪いのではないか?」 と疑うようになっていました。

    そして6月6日、帰宅途中のことでした。 乗り換えの改札口を出て歩いている時、目の前が真っ白になりました。 頭がフラフラし、意識が飛びそうになりました。 柱に近づき、その場にバッタリと座り込みました。 大勢の人が行き交うターミナルですが、 誰一人として声をかけることすらしてくれなかったことが少し悲しかったです。 地元の駅についてからすぐにカミさんに迎えに来てもらい、Sクリニックを受信しました。 順番待ちの間も、約2回、あの気絶しそうな感覚に襲われました。

    「先生、やはりこれは心臓が悪いのではないですか?」 
という私の質問に、
「パニックですね。」
と断言。 私は、以前の発作の症状とは明らかに違っていることや、心臓の痛さを訴えましたが、まったく冷静な様子で、
「パニックですね。」
を繰り返すばかり。 しかし私は納得がいきません。 とにかく、今のこの辛い状態を何とかして欲しかったのです。 先生は、
「とにかくゾロフトをしっかり飲んで、治していくことですよ」
と言いますが、私は不安で仕方がなく、このまま家に帰って心臓発作で死んでしまったらどうしようと思いました。 (死んだらどうしようもないですが...) 先生は、
「この薬はあまり出したくないなぁ....」
と言いながらも、追加の薬を処方してくれました。 トリプタノールという薬です。 副作用についての説明をしつこいほど言い聞かされて、私は病院を出てきました。

    トリプタノールはてきめんに効きました。 そしてようやく私も、あれは心臓病ではなく、パニックだったんだと納得することができました。  しかしこの薬は、副作用が強く、私の場合、特に口の渇きが気になりました。 気になると言うよりは非常に不快で、症状が改善してからは、トリプタノールはやめて、 再びジェイゾロフト一本に切り替えました。 ただし、ジェイゾロフトは100mgに増量し、また一からのスタートになりました。

    その週の週末、Sクリニックを受信し、症状が収まってすぐにトリプタノールをやめたことを先生に話すと、とても安心した様子で、
「余った分はお護りとしてとっておいてください。」
と言いました。

    その後、似たような症状が現れることがありましたが、私自身 「これは心臓の病気ではない」 と確信できたので、安心して別のことに 集中していると、数十分程度で症状が消えるようになりました。 すこし辛くなると、トリプタノールに手を出しそうになりましたが、あの不快な副作用を思い出し、 ついに一度も服用することなく、ジェイゾロフトの減薬に取り組むことができました。

    この一連の不調は、残遺症状と言われるものです。 私は当時、残遺症状についての知識はまったくありませんでした。 発作でもなく、どこが不調なのかもはっきりしない、しかし死の恐怖だけはしっかり付きまとっているこの状態に、ひたすら怯えるだけの状態でした。 パニック障害については、発作のことばかりが強調されがちですが、この残遺症状こそ、その後長く付き合っていかなければならない症状として絶対に忘れてはならないものです。 パニック障害の治療を行い、発作が落ち着いてきた方は、次に気をつけなければならないこととして覚えておいて下さい。



  ※ 治療の経過のまとめはこちら




                

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