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読書記録 2010年9月

直近の読了順に掲載してます


No:20100925
 福島 肇 『相対論のABC 』 (ブルーバックス)
 総合評価: ★★★★☆
 福島先生の本は2冊目。ロレンツ収縮や速度合成の式を、微積分を使わずに簡単な四則計算で説明するアプローチの仕方は、さすが高校の先生だなと感心させられるところ。相対論は「高速度不変の原則」と「等価原理」の2つによって支えられている。単なる数式の変形ではなく、「原理・原則」を念頭に置きながら問題を考える習慣を身につけるには良い本だと思う。
 読了日: 2010年09月25日

No:20100924
 岩成 政和 『通勤電車もの知り大百科 全面改訂版』
 総合評価: ★★★☆☆
 図書館で借りて読んだ。 地元の常磐線、通勤に使っている武蔵野線、京葉線の章を読んだ。「なんて不便な電車だ」とブーたれながら使っている電車も、実は想像もしなかった事情によってそうなってしまっていたことが理解できた。特に、直通運転(乗り入れ線)については目からウロコのエピソードばかり。筑波学園都市に電車が入り込めなかった事情に意外な理由があったことにもびっくり。 その他、車内広告の宣伝料の相場やICカードにまつわるエピソードも面白かった。電車好きにはたまらない一冊だとと思う。
 読了日: 2010年09月24日

No:20100922
 郷原 信郎 『思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本』 (講談社現代新書)
 総合評価: ★★★★☆
 思考停止に陥ってしまう背景には「リスクを避けたい」という経営側の意図がある。人の機微や判断が介在すると仕事のクオリティの低下や、予期せぬ事態のために会社が存亡の危機に立たされるかもしれない。だから、マニュアルや法令に「書いてある通りにやればよい」となってしまう。結果、「誰がやっても同じ」となり、生きがいの喪失へ通ずるだろう。やがて、誰がやっても同じことは、「別に人間でなくてもよい」となっていく。これは新しい形の人間疎外であり、この本はそうした社会へ向かっている日本への警告だと感じた。
 読了日: 2010年09月22日

No:20100921
 石角 完爾 『「知」の管理術―超効率オフィスを実現する』  (アスペクトブックス)
 総合評価: ★★★☆☆
 題名だけ見て図書館で取り寄せ。内容のあまりの古さにがっかりしたが、この時代にここまでのことを徹底していたことにびっくりした。当時は、わたしもパソコンを使った知の整理に夢中だったが、情報の整理に工数を取られ、本業の時間が圧縮されるという問題に直面。その後インターネットの普及により、情報の波に飲まれたという経緯がある。この著者が、この後どのように整理術を変遷させたのか、また旧代のデータをどのように移行させてきたのか気になるところ。
 読了日: 2010年09月21日

No:20100920
 斎藤 孝,さくら ももこ 『ちびまる子ちゃんの音読暗誦教室』 
 総合評価: ★★★☆☆
 あの齋藤先生の本ということで買ってみた。「ちびまる子ちゃんの」である必要はなく、漫画の内容も本文とかけ離れている。しかし取り上げられている名文たちはなかなか良かった。ほとんどが初めて触れる文章だったが、学校の授業で触れるようなものだけではなく、あるものはロマンチックであり、あるものは死を意識させる。子供に読ませるには良い教材だと思う。
 読了日: 2010年09月20日

No:20100920
 五島 勉 『カルマの法則―生命転生の秘密-あなたは死後どうなるか』 (ノン・ブック 136)
 総合評価: ★★★☆☆
 生命哲学に科学的にアプローチしようという試み。ただし、これは生命科学ではない。生命科学からのアプローチが無意味であることに、この時代にすでに気づいていること自体が、すでに凄い。臨死体験から始まって、最終的には仏法に説く生命哲学へ議論が収束していく。やや話が飛躍したり、オカルトチックなところもあるが、何かを信じるヒントがここにはあると感じた。よくわからないけど。
 読了日: 2010年09月20日

No:20100919
 小澤 竹俊 『いのちはなぜ大切なのか』 (ちくまプリマー新書)
 総合評価: ★★★☆☆
 なかなか難しいテーマだけれども、筆者は極めて慎重に、謙虚な態度で読者と共に考えることを目指しながら書いている。しかしそのことがかえって、結論の焦点をボヤかしてしまっている所があるのが残念。子供たちが、バーチャルな世界での「死」と現実の死を混同しているという論も、かなり間怠っこしいものがある。しかし「他人のために生きようとするとき、生きる意欲が湧くものなのだ」という著者の体験を通じて語られる「生きがい論」には納得できた。もう少し幅広い内容を扱った本の中で触れるべきテーマではないかと感じた。
 読了日: 2010年09月19日

No:20100917
 養老 孟司 『バカの壁』  (新潮新書)
 総合評価: ★★★★☆
 「話したってわかりっこない」と押し通すのは無茶があるとしても、「わかる」ことが可能な範囲に限界があることは納得できた。これは生物学的というか、脳ミソの構造的な問題だと思う。人間には人間の、ダニにはダニの世界了解の仕方というものがある。そうした差異がマクロに存在するのは理解できる。しかしそれを人間対人間のミクロな次元まで落として考えようというあたり、理系人間の「何でも一般化したい」という癖があらわれている気がする。それもそれで一つの壁なのだと思うが。
 読了日: 2010年09月17日

No:20100915
 田多井 吉之介 『バイオリズムとはなにか―その基礎と応用』(ブルーバックス 206)
 総合評価: ★★★☆☆
 現在、バイオリズムは似非科学と言われている。この本でも、厳密な計算の仕方や効果的な活用方法については詳細に触れているが、なぜ、そのようなリズムが存在するのかという理由や、その根拠となる証拠についてはものすごく曖昧にしている。しかし、人間の体や感情には、何らかのリズムがあるのだろうということは人間の直感としてあるし、地球や月が周期運動をしているうちは、人間はそれらの動きに何がしかの影響を受けると思う。それを一般化したいという思いは田多井さんの文から十分伝わった
 読了日: 2010年09月15日

No:20100914
 福島 肇 『物理のABC』 (ブルーバックス)
 総合評価: ★★★★☆
 物性物理から量子力学まで幅広くカバー。広く浅く触れながらも、それぞれの分野の関連が見えてくるので、物理が全体を俯瞰する事ができて良い。著者は高校の物理の先生。ふだんどんな授業を展開しているのか興味が湧いた。
 読了日: 2010年09月14日

No:20100913
 斎藤 恭一 『道具としての微分方程式』 (ブルーバックス)
 総合評価: ★★☆☆☆
 学生の時に教授に勧められて読んだ。解らなかった。20年経ってもう一度読んでみたが、解らなかった。そもそも微分方程式とは何か? 何をしようとしてこのような手法が現れたのかということを知るにはこの本ではダメ。「道具としての」とあるように、もう、どうすれば問題が解けるのか?という点に特化した内容になっている。イラストは解りやすいが、「入りたまご消してでる」という呪文が煩わしい。このセンスの無さは、いかにも数学の世界に生きる人という感じだった。
 読了日: 2010年09月13日

No:20100911
 高橋 紳吾 『きつねつきの科学―そのとき何が起こっている?』 (ブルーバックス)
 総合評価: ★★★☆☆
 人間の脳の中に残っている原始的な機能。その機能の一端を垣間見ることのできるケーススタディに、やや鳥肌が立つた。コメットさんやコックリさんはやったことが無いのでどれだけ意識的あるいは無意識的なのか解からないが、いずれにしろ、脳ミソにかかっているバランスロックを外してしまう可能性のある行為だ。バランスロックが外れた先に見えるのは、脳の創りだしたイメージ。人間はどこまでいっても五感と脳ミソを通じてしか自分以外のものを把握できないことを知ってしまうのも、またちょっと残念な気がしたりして。
 読了日: 2010年09月11日

No:20100910
 デール カーネギー,Dale Carnegie 『人を動かす 新装版』
 総合評価: ★★★★★
 職場のリーダーとしてその心構えを学ぶべく読んだ。カーネギーの本は啓発書のように思われるフシも多いが、この本は成功しようとか人をコマのように動かしてやろうという心を持った人間には相応しくない。「人を動かす」というよりは、「人の心を動かす」ための心構えがこの本にはある。心を動かす−つまり人を感動させることこそ、その人が言われたことをまるで自ら望んだかのように喜んで実行してもらう最短コースなのだ。そのためには人間に対する深い理解と、その理解を表現する表現力と忍耐が必要だと言っている。
 読了日: 2010年09月10日

No:20100909
 B. ラッセル 『幸福論』(岩波文庫)
 総合評価: ★★★★☆
 目次に見られる「不幸の原因」、「幸福の原因」、「幸福な人」という構成に心を奪われた。アランの幸福論のような能天気なところがない。ラッセルは現代社会特有の問題を見据えつつ、自分の感情をいかにコントロールできるかが内的な幸福の度合いを決定するカギであると言っている。現代人は本当に些細なことでイライラしたりブチ切れたりしている。それがいかに馬鹿馬鹿しいか、人との関わり合いの中でどうバランスを取ることが望ましいかを考えるヒントに溢れている。80年前に書かれたとは思えないほどの精彩を放つ一書。
 読了日: 2010年09月09日

No:20100908
 中谷 彰宏 『朝に生まれ変わる50の方法』(PHP文庫)
 総合評価: ★★★☆☆
 朝は無事に職場に到達することに集中し、夜は終電に乗り遅れないことに集中し、人身事故や車両故障が起きないことをひたすら祈る。健康や命に関わるほど、睡眠時間を確保できぬ生活をしている人には、この本の内容は腹立たしいだろう。私も、現在の職場に所属している限りではこの本に書いてあるような余裕を持った生活は難しい。深夜2時に就寝し朝5時に起きる生活では、常にボケボケしているか、イライラしているかのどちらかである。この本のように、人間としての最低限の欲求が満たされた生活を送ってみたい。
 読了日: 2010年09月08日

No:20100907
 七田 眞 『七田式超右脳英語勉強法』 (〈ムック〉の本)
 総合評価: ★☆☆☆☆
 右脳の特性に着目したのはよかったが、同時に人の脳ミソには個々に特性があることをこの本の著者は忘れている。自分と同じやり方が万人に効果的だと信じ、極端に効果が出た例を並べている。さらに、読経を勧めるなど、一定の効果があるにしても本来の目的との乖離が激しく、時間配分と実現可能性の面でとてもいただけない。
 読了日: 2010年09月07日

No:20100906
 内藤 誼人 『お金持ちの習慣が身につく「超」心理術』
 総合評価: ★★★★☆
 金持ちになる方法ではなく、金持ちに共通する思考パターンをわかりやすくまとめた本。徹底した楽観主義、プラス思考。そうしたなかにこそ、健全な思考が宿ることを教えてくれる。しかし感情的になるな。人材を大切に。所詮、本業を大切にコツコツ努力をしてきた人にはかなわない。 気をつけなければならないのは、こうした行動パターンは、金持ちになる必要条件であって十分条件ではないということ。
 読了日: 2010年09月06日

No:20100905
 加藤 諦三 『自分の構造―逃げの心理と言いわけの論理』  (PHP文庫)
 総合評価: ★★★★☆
 心理学か何かの本かと思ったが違ったみたい。「自分の構造」という題名と、表紙のイラストからは、「自分はどうしたいのか?」、「この虚しさは何か」、「自分とは他人にとってどういう存在なのか」という、青年期に持つ内的な「迷い」に対して応えようとする筆者の意欲が感じられる。様々なカドがマルくなる人と、カドを持ったまま大人になり、自他共に傷つけあう人生を送ることになる人の違いは何なのか? この著者の名前は、本名なのか? さまざまな疑問を残すが、「こうでも有り得る」という生き方もまた見えてくる。
 読了日: 2010年09月05日

No:20100904
 デール カーネギー,Dale Carnegie 『道は開ける 新装版』 
 総合評価: ★★★★★
 「忍耐力」、「待つ心」、「信じる力」をあきらめない著者の強さが伝わってくる。しかし一方で、人間はみな弱く、ふとしたことで意外なほどに人格が崩壊してしまうようなこともあるものだという、人間に対する「理解」が、さらにこの本を魅力的にさせる。鬱病経験者なら誰しも共感できる内的な心象の表現に出会うことができるだろう。 ふくふくさんの言う通り、なるほど、人生のさまざまな場面で紐解く毎に新しい発見があると思える本。
 読了日: 2010年09月04日

No:20100903
 ハイブロー武蔵 『めんどうな人間関係で絶対つまずかない作戦―52のルール』
 総合評価: ★★★★★
 良書。人間関係の問題というと、「めんどう」な相手の性格に対してどう対処するかという点が強調されることが多いが、この本では、そもそも自分と相手の不完全さの不調和に問題があるとして、まず「自分を磨く」ことから始める。包容力がある人、知恵のある人にとっては、人間関係はそれほど大きな問題にはならない。包容力があれば吸収できるし、知恵があれば、いちいちムカムカせずに問題を回避、解決する内的な統制力を持っているはずだ。本を友とする生き方に自分磨きの基礎があると考える著者に共感。
 読了日: 2010年09月03日

No:20100902
 渡辺 和博 『「困った人」につけるクスリ―読めばよく効く人生相談』
 総合評価: ★★☆☆☆
 「困った人」というより、「困っている人」が正解。いわゆる「はた迷惑な人」という意味で「困った人」という語を使っているのではない。はた迷惑な人に困らされて「困っている人」を対象にした本。しかも、「迷惑だ、迷惑だ」とはた迷惑な人を告発しているその人こそ、まさに「困った人」であるというオチつき。どんなに迷惑がっても人は変わらない、それを変わるものと信じ込み、余計な情熱や労力をかけようとする人間の愚かさがみえてくる。書きっぷりがいかにも他人事なので、読んでいるとムカムカする人もいるかも。
 読了日: 2010年09月02日

No:20100901
 安井 伸郎 『エネルギーの科学―人類の未来にむけて』
 総合評価: ★★★☆☆
 教科書みたいな感じ。実際、教科書かも知れない。解りやすく平易な言葉でまとまっており、全体を俯瞰する記述と、日常生活で疑問に思う身近な科学をコラム風に解説しているところがある。図も解りやすい。
 読了日: 2010年09月01日



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